住民税:前年所得の10%、6月から翌年5月、退職時の一括
前年所得の約10%(道府県民税4%+市町村民税6%)、特別徴収(給与天引)と普通徴収の違い、1-5月退職の一括徴収、出国時の納税管理人を実用基準で整理します。
住民税は地方税の一種で、前年1月から12月の所得に基づき、翌年6月から再翌年5月までの12か月で納付します。給与の約10%にあたり、年収¥4,000,000なら毎月約¥30,000が天引きされます。来日初年度は前年の日本所得がないため非課税で、2年目から正規に納付が始まる点が特徴です。この記事では基本ルール、特別徴収と普通徴収、退職時、出国時の4つを順に整理します。
1. 住民税の基本ルール
住民税は2階建てです。道府県民税は4%(標準税率)に均等割¥1,000-1,500、市町村民税は6%(標準税率)に均等割¥3,000-3,500、合計で約10%プラス均等割¥4,000-5,000/年です。自治体により税率に微小な違いがあり(東京都は東京都民税+区民税で同じく約10%)。
所得割の計算式は以下です。
住民税=(前年所得−所得控除)×10%+均等割¥4,000-5,000
一般的な所得控除は、基礎控除¥430,000(住民税基準、所得税と異なり引上げなし)、給与所得控除¥650,000-¥1,950,000(2026年度の住民税は2025年分所得で計算、最低額は旧¥550,000から引上げ)、社会保険料控除(全額)、生命保険料控除、配偶者控除(年収条件あり)、扶養控除(1人あたり¥330,000-¥630,000)です。
例として年収¥5,000,000の独身会社員を計算します。給与所得控除¥1,440,000、基礎控除¥430,000、社会保険料控除¥700,000で控除合計¥2,570,000、課税所得は¥5,000,000−¥2,570,000=¥2,430,000、住民税は¥2,430,000×10%+¥5,000=¥248,000/年(月約¥20,700)です。
非課税ラインは自治体の級地区分で異なります。2026年度(令和8年度)は給与所得控除の引上げにより、1級地(東京23区等)の独身で年収約¥1,100,000以下で完全非課税(旧¥1,000,000)です。扶養1人の非課税ラインも同様に引き上がっています。
2. 特別徴収と普通徴収
納付方法は2種類です。
| 方式 | 対象 | 納付 |
|---|---|---|
| 特別徴収 | 会社員、公務員 | 給与から自動天引、6月から翌年5月の12回 |
| 普通徴収 | 自営業、フリーランス、退職者 | 自治体から納付書、6月・8月・10月・1月の4回(または毎月) |
特別徴収は会社員の標準で、給与明細に「住民税」項目で天引きされ、会社が毎月まとめて市役所に納付します。
普通徴収は自分で銀行、コンビニ、口座振替で4期に分けて納付します。年4回(6月30日、8月31日、10月31日、1月31日が期限)の納付書が郵送されます。年初に「全期分一括払い」を選ぶこともできます(割引なし)。
普通徴収を口座振替に設定する場合は、市役所窓口またはオンラインで銀行口座を登録すれば自動引落になり、納付漏れの心配がなくなります。
出典:地方税法第321条の3(特別徴収義務者の指定)、東京都主税局:個人住民税。
3. 退職時の住民税の特殊処理
退職する月によって、残りの住民税の処理が変わります。
| 退職時期 | 残り住民税の処理 |
|---|---|
| 6-12月 | 「普通徴収切換」で残月分は自分で納付(納付書送付) |
| 1-5月 | 「一括徴収(強制)」で残月分を最終給与から一括天引 |
1-5月退職の影響は無視できません。年収¥4,000,000で月の住民税が¥25,000の人が4月に退職する場合、残り1-2か月分の¥25,000-50,000が最終給与から一括天引されます。手取りがマイナスになる可能性もあります(会社から差額を請求される)。
転職先があるなら特別徴収を継続でき、転職先の人事に市役所への「特別徴収切替申請書」を依頼します。新会社入社後1-2週間以内に申請し、その後は新会社の給与から天引きされます。転職先が未定の場合は自動的に普通徴収に切り替わり、納付書が自宅に送られます。
出典:総務省:個人住民税の特別徴収、国税庁:給与所得の住民税。
4. 外国人特有:来日初年度の非課税と出国時の手続き
来日初年度(1-12月)は前年の日本所得がないため住民税はゼロです。新入社員や留学生が「給与の手取りが多い」と感じるのはこの理由です。
来日2年目(翌年6月以降)から前年(来日初年度)の所得が反映され、突然月¥10,000-30,000の天引きが始まり驚くことがあります。年収¥4,000,000なら年間約¥250,000を予算に組み込むべきです。
出国(帰国)時にはいくつかの注意点があります。1月1日時点で日本に住所がある人は、その年の住民税課税対象となり(前年所得ベース)、たとえば3月に帰国しても1月1日時点で日本にいたため、その年の住民税が発生します。6月以降に日本にいなくても納税義務は残ります。
このため出国前に「納税管理人」を立てる必要があります。出国前に日本在住の友人、家族、行政書士を「自分の代わりに住民税を納める代理人」として指定し、市役所で「納税管理人申告書」を提出します。出国後の住民税の4期分または一括分が代理人に送られます。
未納のまま出国すると、法律上は債務として残り、市役所は国際郵便で催告し、最悪のケースでは再入国に影響します。
外国人は出国3か月ほど前から準備を始めるのが安全です。出国日を決定し、会社と市役所に退職届と最終給与の住民税処理を相談し、納税管理人を委託して市役所に届出します。一括前納も可能(市役所窓口で「全期分一括払い」と申し出る)です。
出典:総務省:個人住民税の納税管理人、国税庁:出国時の納税管理人。
5. 確定申告と住民税
自営業やフリーランスの住民税は確定申告と連動します。3月15日までの確定申告で所得を申告すれば、市役所への住民税申告は自動的に完了します。別途市役所での申告は不要です。
会社員が副業所得(副業、株式、配当、不動産など)を確定申告する場合も、住民税は自動計算されます。副業分の住民税は「自分で納付(普通徴収)」を選択すれば本業の会社に副業がバレずに済みます(確定申告書第二表の「住民税に関する事項」でチェック)。
医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除などの控除を申告すると住民税も減額されます。ふるさと納税は2,000円の自己負担で住民税が控除される制度で、年収¥5,000,000なら約¥45,000まで節税できます。
出典:国税庁:確定申告、総務省:ふるさと納税。
6. よくある落とし穴
来日2年目の住民税ショックはよくあります。初年度は手取りが多くても、2年目から月¥10,000-30,000の天引きで給与が縮小して感じます。給与の10%を予算に組み込みます。
1-5月退職での一括徴収も注意が必要です。最終給与から数か月分が一括天引きされ、手取りがゼロか負数になる可能性があります。3月退職予定なら1-2月から予算を組みます。
転職先で特別徴収を継続する手続きを忘れると、自動的に普通徴収になり、自分で納付書4回分を払うことになります。会社人事に切替届出を依頼します。
出国時に納税管理人を立てないのは大きなリスクです。未納の住民税は国際郵便で催告され、最悪は再入国拒否や信用低下を招きます。
普通徴収の納付書を放置するのも危険です。延滞金がかかり、強制執行(給与差押え)の可能性もあります。
フリーランスや自営業が前年所得を申告しないと、住民税は発生しませんが、これは違法です。確定申告は住民税申告も兼ねるため、別途市役所申告は不要です。
出典:地方税法第331条(滞納処分)、国税庁No.2024:確定申告を忘れたとき。
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