救急と119:救急車を呼ぶ判断、住所、症状の伝え方
119・#7119・#8000の使い分け、通報で聞かれる4項目、電柱番号での位置特定、松阪市に始まった軽症搬送の有料化まで、救急の実務を整理します。
緊急時の番号は3層で覚えます。119(救急・火災)と110(警察)は全国共通・24時間で、通話料無料。#7119(救急安心センター)は「救急車を呼ぶべきか」を相談する窓口で、東京・大阪・埼玉など主要地域で使えますが全国一律ではありません。子どもがいる家庭はもう1つ、#8000(こども医療電話相談)を控えておきます。こちらは全国共通で、夜間・休日に看護師や小児科医が症状を判断してくれます。
迷わず119の症状、呼ばない症状
意識がない・呼びかけに反応しない、胸の強い痛み、呼吸困難、大量出血、骨折で動けない、アナフィラキシー、そして脳卒中のサイン——顔の片側が歪む、片腕に力が入らない、ろれつが回らない——のどれか1つでも出たら、迷う時間そのものが損失です。即119を選びます。
一方で、軽い発熱、自力で歩ける外傷、慢性疾患の軽い症状は近くのクリニックか夜間急患センターが適切です。2023年の救急出動は約764万件と過去最多を更新し、搬送後に軽症(入院不要)と判定される割合が半数近くを占めます。この数字が後述の有料化の動きの背景です。判断に迷う症状は、消防庁の救急受診アプリ「Q助」に症状を入れると「いますぐ救急車」「自分で受診」を機械的に振り分けてくれます。
通報で聞かれる4項目
119にかけると最初に「火事ですか、救急ですか」と聞かれます。「救急です」のあとは、この順で求められます。
- 住所。自宅以外なら、Googleマップに表示される正式住所を読み上げるのが最速です。屋外では電柱の管理番号(全ての電柱に固有番号があり、消防は番号から位置を特定できます)か、コンビニの店名と交差点の方向を伝えます。
- 名前と電話番号。救急隊が現場を見つけられないときの折り返し用です。
- 症状。どこが・いつから・意識はあるか。「意識はありますか」は必ず聞かれます。
- 年齢。おおよそで構いません。
通話を切らないことも重要です。地域によっては携帯のGPSで位置を補足できますが、回線がつながっている間だけです。
救急車が着くまでの約10分
通報から到着までの全国平均は約10分です。この間にやることは4つ。玄関の鍵を開ける(可能なら誰かが建物の下で誘導する)、マンションなら棟番号と階数を誘導役に共有する、マイナ保険証(または資格確認書)・お薬手帳・身分証を1つの袋にまとめる、そして骨折や脊椎損傷が疑われる人は動かさないことです。不適切な移動は単純骨折を神経損傷に変えることがあります。
#7119と#8000、夜間急患センター
緊急性の判断がつかないときは、対象で分かれた2本の相談線を使います。#7119は全年齢対象で、看護師や救急経験者が「いますぐ救急車」「今夜のうちに急患センター」「明日の日中に受診」の三択で答えてくれます。#8000は15歳以下の専用窓口で、夜中の高熱、嘔吐、誤飲はまずここです。全国共通ですが、受付時間帯は都道府県で多少違います。
#7119の未実施地域では「(市名)+夜間急患センター」で調べます。多くの都市に1〜3か所あり、深夜0時から朝8時の時間帯も軽い急症を診る施設があります。大病院の救急外来に自己判断で行くより、待ち時間も費用も小さく済みます。
費用:出動は無料、ただし例外が生まれ始めた
救急車の出動自体に料金はかかりません。費用が発生するのは搬送先の病院からで、診療は健康保険の3割負担、深夜は時間外加算で日中より数千円高くなります。紹介状なしで大病院に運ばれた場合の選定療養費(医科¥7,700以上)がかかるケースもあります。
「救急車はタダ」という前提自体も崩れ始めています。三重県松阪市は2024年6月から、市内3つの基幹病院へ救急搬送されたものの入院に至らなかった軽症患者から¥7,700を徴収する運用を開始し、3か月で搬送件数が2割減りました。追随を検討する自治体が出ており、軽症での安易な要請は今後「実際にお金がかかる」行為になっていきます。救急受診後の領収書は、高額療養費や民間保険の請求に使うためすべて保管します。
出典:伊勢新聞:松阪市の救急搬送選定療養費(2024/10)
用語
- 救急安心センター(#7119)
- こども医療電話相談(#8000)
- Q助: 消防庁の救急受診判定アプリ
- 電柱番号: 電柱固有の管理番号。屋外での位置特定に使える
- 選定療養費