life · 2026-05-16

日本の医療保険:国保と社保、3割負担、高額療養費

国民健康保険と健康保険(社保)の違い、3割の自己負担、高額療養費制度の月限¥35,400-¥252,600、診療所から病院への受診順、医療通訳サービス、外国人特有の注意点を整理します。

日本は世界でも珍しい「国民皆保険」を実現しており、日本に3か月以上居住するすべての人(外国人を含む)が健康保険に強制加入します。この制度のおかげで医療費は自己負担30%(高齢者と子供はさらに低い)で済み、残り70%は保険が負担します。どの保険に加入するか、月額はいくらか、どの程度の医療が保険対象か、外国人特有の落とし穴は何かを整理しないと躓きます。

1. 国民健康保険と健康保険(社保)

日本の健康保険は大きく2系統に分かれ、就労、年金、年齢で決まります。

種類対象保険料窓口
健康保険(社保)会社員、公務員(週30時間以上)給与の約10%を労使折半(自己負担5%)会社経由
国民健康保険(国保)自営業、フリーランス、退職者、留学生前年所得と家族数で月¥5,000-50,000市区役所国保課
後期高齢者医療制度75歳以上所得別、月平均¥4,000-8,000市区役所

社保の利点は、扶養家族(配偶者、子供)が無料でカバーされ、傷病手当金(休業時に給与の3分の2、最長18か月)、出産育児一時金¥500,000、介護保険を含むことです。国保の利点は、所得が低い人や退職者には計算上有利になることが多く、加入手続きは市役所窓口で完結することです。国保の欠点は扶養という概念がなく家族全員が個別加入する必要があり、出産育児一時金¥500,000は出るものの傷病手当金はないことです。

新規加入は、引越し後または退職後14日以内に市区役所の国保課で手続きします。紙の保険証は2024年12月2日で新規発行が終了しており、マイナンバーカードを持っている人はマイナ保険証の利用登録をすればそのまま受診でき、持っていない人には保険者から資格確認書が郵送されます(約1週間)。入社時は会社が社保の加入手続きを行い、同じくマイナ保険証か資格確認書で受診します。

出典:厚生労働省:国民健康保険全国健康保険協会

2. 3割負担と高額療養費制度

医療機関で受診する際、保険証を提示すれば医療費の30%を自己負担し、残り70%は保険が負担します。小学校就学前は20%、義務教育期から69歳は30%、70-74歳は20%か30%(所得別)、75歳以上は10-30%です。

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合に超過分が事後還付される制度です。月の限度額は所得別に分かれます。

年収月の自己負担上限
¥0-370万¥57,600(住民税非課税で¥35,400)
¥370万-770万¥80,100+1%
¥770万-1,160万¥167,400+1%
¥1,160万以上¥252,600+1%

例として年収¥5,000,000の人が1か月に医療費¥300,000を使った場合(3割で実際支払は¥100,000)、自己負担上限は¥80,100+約¥1,000、超過の約¥19,000が事後還付されます。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば窓口支払時に上限で締められ、立替えと還付申請が不要になります。

入院や手術は必ず限度額を超えるため、事前申請が推奨されます。

出典:厚生労働省:高額療養費制度

3. 診療所から病院への受診順

日本の医療体制は「かかりつけ医制度」を推奨し、3段階で使い分けます。

段階種類紹介状なしの場合
診療所(クリニック)個人医院、内科、小児科、皮膚科、耳鼻科などまずここで、軽症なら5-30分
病院(20床以上の中規模)複数科の医療機関初診時選定療養費¥7,000-11,000
大学病院・特定機能病院高度医療、最終手段紹介状なしで¥7,000-30,000以上

具体例として、風邪で内科クリニックなら¥1,500-3,000(薬代別)、軽い腹痛は¥2,000-4,000、骨折や縫合が必要な場合は整形外科クリニックか救急、糖尿病や高血圧などの慢性病はかかりつけ医で月1-2回各¥3,000-7,000、手術は紹介状で大病院に行き手術費¥100,000-1,000,000で高額療養費が月限度額まで抑えます。

予約方法は、多くのクリニックが予約制か当日受付です。EPARKやGoogle Mapで予約でき、人気クリニックは2-4週間先まで埋まることもあります。突然の体調不良は、Google Mapで予約不要の内科クリニックを探して直接行きます。

出典:厚生労働省:医療体制

4. 薬局の使い方

医師から処方箋を受け取ったら処方箋薬局(マツモトキヨシ、ココカラファイン、サンドラッグ、ウエルシアなどの大型チェーン併設)で薬剤師が調剤します。

費用は2系統に分かれます。処方薬は保険適用で自己負担30%(抗生剤7日分¥500-1,500)、市販薬(OTC)は処方箋なしで購入でき保険非適用、ドラッグストアで自分で選びます(風邪薬¥500-2,000、頭痛薬¥500-1,500)。

お薬手帳は処方薬の記録で、薬局で無料発行と更新ができます。毎回持参すると会計が¥40-100安くなり(手帳料金)、複数の医療機関の薬の重複と相互作用を確認できます。

ジェネリック(後発医薬品)は、処方時に「ジェネリックでお願いします」と伝えると薬代が30-70%安くなります。安全性と効果は同等(厚労省認可)です。

出典:厚生労働省:医薬品医療機器等法日本薬剤師会

5. 外国人特有:医療通訳と支払い

言語サポートには4つの選択肢があります。AMDA国際医療情報センター(amda-imic.com)は8言語の電話相談と医療機関紹介を無料提供し、平日9時30分から17時、電話03-6233-9266です。東京都医療通訳派遣(Tokyo MIC)は都内対応で事前予約が必要です。医療翻訳アプリ「みえる通訳」「Pocketalk」のリアルタイム翻訳は一部の大学病院と救急で導入済みです。多言語対応病院はGoogle Mapで「English speaking doctor」と検索するか、JNTOの多言語医療機関リストを参照します。

支払方法は、多くの医療機関で現金とクレジットカードが使え、PayPayなどのQR決済は一部のみです。マイナ保険証や資格確認書を持たない(加入忘れか失効)場合は全額自費で、後から70%還付申請が必要です。

緊急時は、119が救急車(無料)と消防で24時間、#7119が救急安心センター(緊急性の判定、一部都道府県のみ)、救急は直接病院の救急外来で初診時選定療養費と時間外加算が追加されます。

外国人で重症や長期治療が必要な場合は、在留資格を「特定活動」(医療滞在ビザ)に変更できる可能性があり、出入国在留管理庁に相談します。

出典:厚生労働省:外国人医療支援AMDA国際医療情報センターJNTO:医療機関ガイド消防庁:#7119

6. よくある落とし穴

保険証なしで受診すると、全額自己負担(実質3.3倍)になります。後から70%還付申請できますが手続きが面倒で、最悪2-3か月待ちです。引越しや退職時は14日以内に切替えます。

紹介状なしで大学病院に直接行くと、¥7,000-30,000の選定療養費が追加されます。軽症では無駄なので、近くのクリニックから始めます。

お薬手帳を毎回持参しないと会計が¥40-100高くなり、重複服薬リスクもあります。スマホアプリ版(EPARKお薬手帳など)でも可能です。

ジェネリックを「偽薬」と思って拒否するのは損です。厚労省認可の同等品で価格は30-70%安く、医療費全体を抑えるためにも積極的に使うべきです。

突然の体調不良で救急車を呼ぶのも要注意です。救急車は重症(意識不明、大出血、呼吸困難)向けで、軽症は#7119で判断するかタクシーで救急へ行きます。乱用は地域救急資源を圧迫します。

外国人が「日本語が苦手だから医療機関に行けない」と我慢するのも危険です。AMDAとTokyo MICが通訳支援を提供しており、放置すると大きな費用に発展します。

高額療養費制度を知らずに一括で高額医療費を支払う失敗もあります。事前に「限度額適用認定証」を申請すれば窓口で上限まで締められ、退院後の還付申請も不要です。

日本語キーワード

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参考資料